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「あの時の笑顔にまた会えた」七五三から13年、前橋臨江閣での成人式前撮り

28 Oct 2025

10月28日、群馬県民の日。
朝の空気は澄み渡り、秋晴れの柔らかな光が街を包み込んでいました。
この日は前橋臨江閣で成人式の前撮影をさせていただきました。
明治時代の趣を今に残す木造建築の臨江閣は、静けさと風格を兼ね備えた場所。
晴れやかな振袖姿がとても映える、お気に入りの撮影スポットのひとつです。

撮影当日、隣接する「るなぱあく」には、県民の日ということもあって多くのご家族連れが訪れていました。
豆汽車やメロディカーの音、子どもたちの笑い声が日本庭園の方まで響き、前橋公園の駐車場もすでに満車状態。
外は賑やかそのものですが、臨江閣の館内に一歩入ると、そこにはまるで時間が止まったかのような静寂が広がっていました。
その対比がまた、ここでの撮影を特別なものにしてくれます。

そんな中でお会いした今回の主役のお嬢様。
最初にお顔を見た瞬間、「どこかでお会いしたことがあるような…」という懐かしい感覚が胸をよぎりました。
するとご本人から、「お久しぶりです。7歳の七五三の時も撮影してもらいました」と笑顔でひとこと。
その瞬間、13年前の記憶が一気によみがえりました。
お寺での七五三撮影。小さな体で椅子に腰掛けた時、
足が床に届かなくてバタバタさせて、少し照れくさそうに笑っていたあの時の姿。
あの可愛らしい笑顔の面影が、今も確かに彼女の中に残っていました。

七五三の頃はあどけなさの中に輝きを感じ、
今回の成人式ではその輝きがより一層、凛とした美しさへと変わっていました。
振袖に身を包んだその姿は、子どもの頃の笑顔とはまた違う、しなやかで大人の表情。
でも、カメラを向けるとふっとこぼれる笑みはあの頃と変わらず、思わず私の心まで温かくなりました。

臨江閣の障子越しに差し込む光が柔らかく振袖を包み、髪飾りの細工がきらりと光ります。
その一瞬一瞬が、まるで時間の欠片のように美しく、静かな館内にシャッター音だけが響きました。
そして日本庭園へ出ると、風に揺れるススキの穂の間から、
るなぱあくで遊ぶ子どもたちの元気な声が聞こえてきました。
その賑やかさがまるで祝福の声のように感じられ、私の胸も自然と弾みました。

「大人になった今も、こうして写真を撮っていただけて嬉しいです。」
撮影の合間にそう話してくださった言葉に、胸が熱くなりました。
写真を通して、こうして年月を超えて再会できること。
そのご家族の人生の節目に、再び立ち会えること。
それはカメラマンとして何より幸せな瞬間です。

撮影を終えて臨江閣を後にする頃には、夕方の光が庭園を黄金色に染めていました。
子どもたちの笑い声がまだ遠くで聞こえ、どこか13年前の七五三の日とも重なって見えます。
あの時の小さな女の子が、こんなにも美しく大人になられたこと。
その成長の軌跡に立ち会えた喜びが、心の奥にじんわりと広がっていきました。

これから迎える本番の成人式の日も、今日と同じようにたくさんの笑顔に包まれますように。
そしてまたいつか、人生の新たな節目で再びお会いできたら——
その時もきっと、シャッターを切る私の手は少し震えるほど嬉しいに違いありません。

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